エピソード11

前回まで(エピソード10まで)のあらすじ:
大阪でカフェを経営する小梅ウサギ。前のカフェからの事業引き継ぎのため簡易裁判所で調停を始めますが、知人に紹介された弁護士が動いてくれず、訴訟に持ち込むことができない状況がつづきました。

調停はほとんど自分で進めることになります。簡易裁判所では相手方(訴える対象の前のカフェオーナー)は、権利のために金をよこせと一点張りです。小梅は裁判所のための書類の作成などで疲弊してつかれていました。

前回までのあらすじ(カフェ概要)

前回までのあらすじ
小梅うさぎ「今日もお客さんこないなあ」
小梅が外をみていると、近所の熱帯魚屋さんが珍しい魚をもってきてくれました。
「このまえ話した魚をもってきましたよ。」
小梅「はっきりと色が別れてますね」
熱帯魚屋「気が強いですからね、注意してください」
小梅の経営する中崎町カフェにはお客様はほとんどきませんが、なんせ一人でワンオペ。作業はすべて小梅うさぎがしなければなりません。「儲かってないのに忙しい。なんて悪循環だ」
無理もありません。大阪簡易裁判所での調停がはじまると、友達や協力者と言われていた人たちは距離をおいて、まったくコミュニケーションをとらなくなりました。
魚のももこ「なーなー、忙しそうやな?私が手伝おうか?」
小梅「え?きみ外にでれるの?」
桃子さかな「まかせときーさ、新地のカフェで働いたこともあるんやで」
小梅うさぎ「たのもしいね、海水魚なのに」


近所の熱帯魚店からきた魚の桃子(バイカラードッティバック)は忙しい小梅うさぎをみかねて、お店を手伝いはじめました。

3年後


3年たったあと、カフェはまだ集客が難しく、食品卸から取引の停止を言われた桃子は、エッグタルト、ブルーベリーパイを独自に開発します。

熱心にスマホを見てエッグタルトとはそもそも何なのかを考える桃子。日本人は味覚が閉鎖的なので、現地のエッグタルトを再現しただけではビジネスとして成り立ちません。しかし周辺のひとたちは「現地に忠実」「現地と同じ」にすればビジネスとして成り立つと思っている人が多く、インド洋出身の桃子は日本社会のギスギス感に嫌気を感じながらも毎日努力します。
エッグタルトを作って、その副産物としてブルーベリーパイも作成しました。
小梅うさぎ「お、うまい」

しかしブルーベリーパイの自作は経費削減の話。集客につながらないまま、カフェの経営が難しい状態でした。

暇なので寝ながらスマホを触る桃子
天満の業務スーパーで買ってきたカップ麺を食べ続ける日々がつづきます。


ずっとピンチの小梅うさぎと桃子さかな。復活なるか?

エピソード11:桃子さかなの大阪ラクサスープカレーライス

兎のカフェはだれにも知られておらず、魚の桃子は知名度の低さに悩みながら毎晩 中崎町界隈のバーや居酒屋でふらふらになるまで酔いつぶれていました。

(煮売屋ぽっとでビールを飲む桃子)

桃子「やっぱりお酒はおいしいなあ」
今日も深夜の1時です。
桃子「あっ!このあと大阪北郵便局にいかないといない」

現金を稼ぐためにSUZURIで自分たちの外見を模した「マーうさぎ」のTシャツをつくり、周辺の外国人観光客たちに売りにいきます。その噂は観光客に広がる前に曽根崎警察署に先に広がりました。
(外国人にはなしかける桃子。Expo2025の非公認グッズをうり警察から警告をうける)

体がすきりしない桃子はホットペッパーでみつけたモンゴル整体に行きます。

自分の予想とはちがって、首のこりで体がつかれていたのです。モンゴル人のマッサージのおかげで体がすっきりした桃子が安眠しているとモンゴル相撲をする夢をみます。

兎を相撲の相撲の行司さんにむかって投げつけ、父親が警察官であった威厳をみせつける桃子。

するとその夢の中に自分たちが冗談でつくったはずのマー兎が現れ、桃子を投げ飛ばすのでした。マー兎は言います。

「経費をぎりぎりまで使ってモンゴル整体に行くのはいいが、先に純利益を増やしなさい。経営にはまずファイナンスの考え方が必要だ」

回心した桃子はまず入力がおくれていた 3か月分の経費をすぐに入力します。そしてMFクラウド会計でフードの原価率をみると、自分たちのフードの材料が原価割れしていたことに気付くのでした。(入力する桃子)

「大阪ラクサとハインチキンライスがフードの経費の中で一番大きいのだ」

今日も早くカフェを開けないといけないとオープンをして、銀行と支払いについて電話をしていると、急に電気がとまります。

「えー、なんなん?」

電気のメーターのところに行くと関西電力の担当者が作業をしていました。

「昨日もう支払っているんですよ。遅れたけど期日までには入金しているのに」

「いや、こっちも、言われて作業をしているんでわからないんですよ。TEPCO(東電)にきいてください」

桃子は東電に電話します。茨城のカスタマーセンターが関西地方の顧客を担当することになっていたそうです

「もしもし、支払を完了したのに電気をきられてものすごい困っているんですけど」

「振込ですか?昨日ですよね?まだ銀行から連絡がなかったので停止しました」いったん解約しないといけません。

「ちょっと、こっちは商売しているのに、それはこまるんですけど!」

「では、繰り上げで直近の分まで料金をしはらってください」

「えー」

桃子が京都の発音でごねたおかげで解約は会費されましたが、危機一髪でした。なぜならば大阪市内は0度近くまで温度がさがっています。電気がつながらないとガスも使用できません。電気をつながない=死ねの意味です。

「私が熱帯の魚だとしってバカにしているのか」

原発処理のまずい東京電力に対する憎悪が桃子にもでてきました。

電気が回復したあと、桃子が作業をしていると、訪問者が現れて取材を申し込まれました。近所の熱帯魚店から紹介をうけて熱帯魚のいるカフェとして取材をしたいというのです。

桃子がめずらしい魚で、かつカフェを経営しているめずらしいバイカラードッティバックなので取材をしたいというのです。

桃子は取材をうけることにします。1週間後、市カメラマンと記者が取材にきました。取材のためお店のおすすめフードとして、ラクサとハイナンチキンライス(海南鶏飯)をたべました。

記者「ラクサのスープを(海南鶏飯の)ジャスミン米で食べるとおいしいよね」

桃子「あ、そういう食べ方あまり想定してなかたですね。」

記者「これでカレーライスにしたらいいのではない?」

桃子「あ、なるほど」

次の日、桃子さっそくカレーを販売します。しかしお客様は現れません。

桃子はカレーを食べながら言いました。「このラクサスープカレーは本当においしいなあ」

小梅「でもお客様いないね」

桃子「ちっ」

提供店舗:中崎町カフェマラッカ

大阪市北区黒崎町5-14

http://cafemalacca.com


この絵本はカフェマラッカの内装や外観を参考にして書いています。カフェには魚の桃子と兎の小梅が実在します。

兎のこうめ

絵本作家紹介(イラスト・文)

Tony Lin (トニーリン):中崎町のかき氷クリエーターかつイラストレーター。2017年までかき氷の開発とメニューのプロデュースに全力をつくすが、2018年からは氷で体調をくずしやすくなりかき氷消費量が激減した。
現在はカレーに生きるのぞみをつなぐ。コメは若干苦手であり、スパイスを食べすぎると腹痛になる。

最近、自転車の振動で頭がいたいことが多く、休日の病院へ脳の検査を受けに行った。脳のCTスキャンは問題なかったが、いつイラストをかけなくなるかわからないため、生き急いでいる。


○ Web : tonylin.art ○美術館:tlmoma.com